なるほど THE裁判員 市民模擬裁判ルポ

http://www.nnn.co.jp/tokusyu/naruhodo/070923.html
日本海新聞 特集

(抜粋)

判決を考えるための最も重要な段階になり、裁判員は困惑していた。「証拠等関係カードとはなんだろうか」=男性(64)。手元に配られた資料の意味が分からないのだ。女性(65)は「すべてを聞き漏らさないようにと思うと緊張した」と疲れた様子。「すごいスピードで流れていく。とてもついていけない」=男性(44)、「聞きながらそのときはイメージできたが、終わると覚えていない」=男性(29)。

一方で、判決を考える前になって男性(64)は「メモしていても百パーセントではない。もう一度初めから聞き直したい」とこぼした。傍聴した弁護士が「被告人が『足元に被害者の手が伸びてきたような気がした』としか話していないのに、裁判員たちの話し合いでは『足をつかまれた』となっていた」と指摘したように、裁判員が審理内容を理解できる手だてを求める声が上がっていた。

刑罰は、裁判員に配られた過去の裁判で下された懲役年数の一覧表を基に決められた。時間の関係もあり裁判員が釈然としないまま多数決で懲役六年六月に決定。「年数を決めるには情報が足りない」=男性(34)=や「人一人の命がそんなに軽いものなのか」=男性(44)=という思いは、全員の心の中にあった。